origin interview
2017年12月。弊社の代表石黒の大工の時代を知るお客様を尋ねて、涌谷へ向いました。そこには、
夢を叶えるまでも、夢を叶えてからも、好きな事に対する気持ちを大切にして共に歩む
素敵な夫婦がいらっしゃいます。“OLIGINAL LIFE”の後押しとなれば幸いです。
夢を叶えるまでも、夢を叶えてからも、好きな事に対する気持ちを大切にして共に歩む
素敵な夫婦がいらっしゃいます。“OLIGINAL LIFE”の後押しとなれば幸いです。
代表石黒
大学のゼミで素敵な森のログハウスに泊まったんですね。大学は経済学部でしたが、就職活動の時期になっても今一つイメージが沸きませんでした。沢山考えた結果、子どもの時からアウトドアが大好きでしたのも相まってログハウスビルダーになってログハウスを1から10まで自分で建てるようになることが「夢」となりました。
卒業間近の2月に決心し、ログハウスの雑誌を買って来て近い会社順に電話をかけていきました。どこの会社も募集をしているわけでもないので中々うまくいく訳がありません。ですが、福島県の会社に電話したときに「独立したばかりだけど、あの人なら…」と金澤さんを紹介され、「駄目ならまた電話してと…」。
これが出会いとなりやっと建築の世界になんとかもぐりこむことができました。それからは必死でものづくりを体に染み込ませるように働きました。当時はまだログ・トラストも起業したばかりで公共事業の下請けが主で、東屋や木道等を作るのが主でした。
そんな中、千葉さんから頂いたログハウスの注文は私がログ・トラストに弟子入りして初になるログハウスの仕事でした。
千葉さん
当時、家を建てたいとハウスメーカーへ相談したときに少し壁に木を使うとか天井を板張りにしたいと言うと費用の増額を提示され、それならいっそのこと壁も天井も木のログハウスならどうなのだろうと思い興味を持ち出しました。
ですが、私が見たログハウスは隙間があり住宅として住むにはどうなのだろうと疑問を持ちました。そんなときに、福島にログハウスのペンションがあるということで泊まりに行き、そのログハウスは私達が見てきたものとは異なり隙間がなく住宅としての気密性が高いものでした。
そのペンション「木輪」のオーナーでログビルダーの今井さんとは、ペンションに宿泊した夜にログハウスについて多くの話を聞くことができ、住宅としてログハウスを建てたいと思うようになりました。
その後、いくつかのログハウスを見て回りましたが、福島のログハウスのペンション「木輪」と同等程度のログハウスには出会うことがなく、であれば今井さんのところに建ててもらおうと相談したところ、ちょうど建築予定地の近くに一番の弟子が独立している。ペンション「木輪」の木工事をもっとも手掛けたのもその弟子なので安心して任せることができると、ログ・トラストの金澤さんを紹介されログ・トラストでは第一棟目でありながら信頼して頼むことができました。
そして、そこで石黒さんとも出会うことになりました。
代表石黒
ログ・トラストの金澤さんは自分にとってものづくりの師匠。ものづくりの入り口をつくってくれた方でした。
海外では、風が入って来たり外が隙間から見えるようなログハウスもあるかも知れませんが、それは日本人の一般的な価値観には合わないと思います。それを「アジ」と称してつくっている方もいるかも知れませんが、普通に住み続けることを考えると気密性はしっかりしていた方がいいですよね…。決して安い家ではないですし、その点でも金澤さんに依頼して頂いたのは、弟子の私から見ても間違い無かったと確信できます。
千葉さん
ログハウスを建ててから、休日の珈琲を飲む時間が自分達にとって心地良い時間になりました。漠然とではあるのですが、珈琲を飲みながら美味しい珈琲とは何なのか、どうせ飲むなら美味しい珈琲を飲みたいと思うようになりました。
代表石黒
家づくりは、ただ雨風から身をまもる場所をつくるということだけなく、お客様にとっての心地よい暮らしをつくる事でなくてはならないと思っています。ですので、千葉さんがこの家だからこそ満喫できる時間をご夫婦で楽しんで来られたことを聞けたのは、建てた大工として何よりうれしいですね。
千葉さん
ログハウスを満喫していたわけですが、新築して4年しか経ってないのに東京に転勤という話になり、その当時はすでに喫茶店をやりたいと思っていたのですが、当然ながら珈琲の知識もなく弟子入りを許してくれる喫茶店もなかったので、止む無く東京に行くことにしました。
新たに住んだところの近くにも自家焙煎珈琲店があり、そのお店を妻が探して豆を買い珈琲を淹れたところ今まで飲んでいた珈琲とは違う木の実のような豊かなコクを感じたことを覚えています。しかし、週末ただ珈琲を淹れて愉しむだけで満足していました。そのような私に業を煮やして、珈琲屋をやる気があるなら珈琲に関する知識をちゃんとつけてみたら?という妻のアドバイスがきっかけで、珈琲専門店が主催するセミナーに通うようになりました。
東京にいる約7年間、珈琲に関するセミナーに通い、知識と珈琲の香味を評価する基準を感覚的に身に着けることができ、自家焙煎珈琲専門店をしたいという思いが明確になりました。
一方で宮城への異動の希望もやっと叶い自宅の隣に店舗を建てることを考え始め、夢でしかなかったことが徐々に現実的な構想になり出しました。
千葉さん
当時、石黒さんが独立したということをログ・トラストの金澤さんより聞いていて、HPで検索したところ飲食店の施工も多く手掛けていることを知り、石黒さんに相談してみようということになりました。
代表石黒
会社のスタッフから「涌谷の千葉さんという方より電話がありました。」と聞いてすぐにわかりました。その時、千葉さんの勤務地の東京より電話を頂いていたのですが、とてもうれしく電話をしたのを覚えています。私のことを覚えていていただけていた事だけでもうれしかったです。
依頼をうけた時は、すぐに金澤さんに連絡しました。師匠に対しての弟子としての礼儀からです。「本当に僕でいいんですか?」と伺いました。金澤さんは快く了解して下さいました。感動でした。
千葉さん
自分の家を建ててくれた人たちのことは皆さん、覚えています。石黒さんは、若いのに住宅金融公庫の住宅ローン等のことも私たちの為に色々と調べて教えてくれました。社長の金澤さんも頼りにしているようでしたし。他にも大友さんや、角田さんの事もちゃんと覚えています。キャラクターが立っていたとかそういう事ではなく、家は住み続けるので、建ててくれた方のことをときどき思います。
石黒社長
それは本当にうれしい事ですね。大切につくった家からは「こころ」が伝わると思います。ちゃんと家をつくると施主と施工者との関係は、単なる買い手と売り手の関係ではなく人と人との関係になると思います。千葉さんはどうされているかな? 師匠のこと、チームのこと、はじめて建てたログハウスを思い出しながら、皆さんの事を想っておりました。
代表石黒
大学時代、それからログ・トラストを辞めてからカフェ開業準備時期(その時夢は叶いませんでしたが…)カフェでアルバイトをしていました。今の流行りのカフェとは違う言わば「ザ・喫茶店」でしたね。そこでは、初めて会う者同士でもカウンターを挟んで様々な話をします。60cmしかないカウンターの奥行きなのに、そこにはその内側と外側にいる人の心の距離感を近くする何かがある…。それが、カウンターのある喫茶店の魅力でした。
ログ・トラストで職人の仕事の素晴らしさを知って、『自分はカウンターのあるカフェで職人の仕事や技術の素晴らしさ、ものづくりの楽しさを伝えていきたい。』と思うようになりました。お世話になったログ・トラストを辞める時に金澤さんにそのように伝えていました。その後、金澤さんは当時のアルバイト先の喫茶店にも何度か足を運んで下さいました。ログ・トラストを辞める時に自分に誓ったのは、師匠の金澤さんの前以外で、そして、(思い描いた、職人の仕事を伝える「工房のあるカフェ」)以外では、2度と職人の道具は握らないという事でした。
そう決意してカフェの開業に挑みましたが、当時夢は叶えられませんでした。
現実の厳しさを思い知らされました。そして、生活するためにまた大工の道具を握りました。それが今の会社を起こす前のリフォーム会社でした。1日の内に営業も設計も工事も担当し朝から夜中まで遮二無二働いて、そのリフォーム会社の業績を伸ばし3年で社員が10倍になり、取締役にもなりましたが社員が長く働きたいと思える会社にはできませんでした。ログ・トラストで良いものづくりの入り口に恵まれていたので、仲間を大切にしてその仲間が安心して長く働くことができる会社を目指したかったんです。それは自分でやらなくてはできないのだということをそこで痛感しました。
その後決意し石黒建築工房を創業し、軽ワゴンに道具を積んで現場まわりをすることから始まり、理想の建築会社を目指し走り続け10年が過ぎ、カフェ事業を構想してからは15年と遠回りをしましたが、やっと自分のイメージしていた「工房のあるカフェ」を実現することができました。風舎さんの竣工、そして震災の1年後でした。ログ・トラストの方々との出会い、創業以来石黒建築工房で一緒に働いてくれている仲間と、沢山のお客様とのご縁という土台があったからこそできたと思っています。
千葉さん
「夢」を叶えたというよりも「夢」をスタートさせることができたという感覚です。ですが、その夢を継続していくことの方が難しく大切なことだと思います。幸い、自宅脇にスペースがあったので、そこに店舗を建てて、焙煎機等の必要な設備を入れるというスタイルにすることで、初期投資は必要でしたがその後のランニングコストはあまり掛からない方法を取ることができました。
珈琲豆の販売を柱の業態にしたいと思って店をスタートし、その珈琲豆の値段に家賃などのランニングコストを極力乗せないようにしたいと考えました。ですので、当店の珈琲豆の値段は、スペシャルティコーヒー豆でありながら同等の他店と比較して安価にコーヒー豆の価格を設定しています。店を継続していくためにはお客様が支払った以上の満足感が得られる。また、新しいお客様を作っていくことの繰り返しになると思っています。不便なところに店があるので、私たちの方からお客様へ近づくことなど工夫も必要だと思っています。
珈琲の美味しさをもっと広めて行きたいと思います。
今まで同様に、世界の珈琲産地の良質な珈琲豆を仕入れ提供して参ります。一方、珈琲豆をミルで挽いてハンドドリップなどで抽出する方だけではなく、コーヒーを自宅で淹れることがない方へも簡単にコーヒーを淹れることができることを伝えることで珈琲の裾野を広げていきたいと思います。
石黒代表
私も、叶えたというよりスタートした感じですよね。続けるのに必死です。社員も社員の家族もいますからね…。そのためには、常にお客様に選ばれる会社でなくてはならない。お客様が我社を選ぶ理由、それは徹底的にお客様の暮らしを考え丁寧にそれを形にしていくからだと思います。そのためには、社員が仕事に打ち込める環境を作ることが大切。
弊社が、住宅メーカーの様な相見積りをお断りしているのも、社員のサービス残業等の不払い労働を無くすためです。
その環境があってこそ社員も心を込めてお客様の為に仕事ができるのではないでしょうか。結果それがお客様に一番良いサービスを提供できる基礎になると信じています。
常に社員が持っている可能性が発揮され、その人生が楽しくなれるよう会社を牽引できればと、今も変わらずバタバタと走らせて頂いております。つい熱く話してしまいすみません。それくらい必死でやっているということです(笑)。
千葉さん
きっと、わかる人にはわかりますよ。石黒さんがやっていることも。すべての人にわかってもらうことは難しいと思います。
私たちが好きな陶器だっていいものはそれなりの値段がついているじゃないですか。いいのものには手間がかかっている。試行錯誤して、気持ちを込めて最良のものを提供するために。コストパフォーマンスの努力しているのもわかる。それでこの値段。それがわかるから、その人を信頼して支払えると思うんですよ。
珈琲も同じですべての人に美味しいと受け入れてもらうことはできないと思っています。ですが、当店を気にされて来て頂いたお客様へは、当店が思う美味しい珈琲を飲んでお話させて頂くことで少しでも理解し合うことができればと思います。その珈琲が美味しいかどうか、それは個人の味覚によるのですが、珈琲生産者始め珈琲に携わる人が美味しいと評価している珈琲豆を正しく伝えることが私たちの役割だと思います。
珈琲も同じですべての人に美味しいと受け入れてもらうことはできないと思っています。ですが、当店を気にされて来て頂いたお客様へは、当店が思う美味しい珈琲を飲んでお話させて頂くことで少しでも理解し合うことができればと思います。その珈琲が美味しいかどうか、それは個人の味覚によるのですが、珈琲生産者始め珈琲に携わる人が美味しいと評価している珈琲豆を正しく伝えることが私たちの役割だと思います。
つまり、珈琲を通じて『人と人を繋げること』を大切にしていきたいと思います。
石黒代表
風舎さんのスペシャルティ珈琲のポスターを弊社でつくらせて頂きたいと思っています。カフェクラフト内でこの豆を宣伝させて頂きつつ、今後も焙煎小屋風舎さんの豆でいれる 「café craft」のスペシャルティ珈琲を、丁寧に提供していきたいと思っています。
今後もお互い、ものづくりから生まれる『人と人との繋がり』を大切に楽しんでいきましょう!
宜しくお願い致します。